web3が地方創生に役立つってホント?

NFT アート

「NFTって流行ってるの?」
「web3って役に立つの?」
「NFTが地方創生に貢献してるの?」
こんな声をよく耳にしますが、NFTはすでに終わったのでしょうか?

結論から言うと、これから盛り上がる可能性がある市場です。

実際には、熱狂的な投機があった時代から実用性重視の時代へとシフトが進んでいます。

ガートナージャパンが発表した資料によれば、NFTは2024年から2025年にかけて「幻滅期」にあります。ブロックチェーン技術などはすでに「啓発期」に入っており、NFTもこれから「啓発期」に到達すると予測されています。


参照:Gartner「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2024年」

また、NFTやweb3といった言葉を聞いたことはあるけど実際どんなものなのかよくわからないという方も多いと思います。

そうした方の為にこの記事では、Web3の基礎から、NFTやDAOの仕組み、そして地方での成功事例を紹介。デジタル技術がどう地域を変えているのかをわかりやすく解説していきます。

◆ Web3とは?

Web3とは、ブロックチェーン技術を活用した次世代インターネットの概念で、「中央集権」から「分散型(非中央集権)」への移行を指します。

要するに、今まではGoogleやAmazonなどの巨大企業がサービスを提供し、私たちのデータを管理していましたが、Web3では、NFTを活用することで利用者が自分のデータやコンテンツを直接所有し、取引したりプロジェクトに参加したりできるようになります。

つまり「ユーザーが主役」になれる世界です。

従来のWeb(Web2) 次世代のWeb(Web3)
中央集権的(GAFAなど) 分散型(DAO、NFT)
プラットフォーム依存 ユーザー主導の経済圏
利益は企業に集中 利益は参加者全体に分配

◆ NFTとは?

NFT(Non-Fungible Token/非代替性トークン)とは、「世界に一つだけのデジタル資産」を証明できる技術のことです。

ただの画像データはいくらでもコピーでき、誰が元の所有者か分からなくなります。しかし、NFTを付与することでデジタルのイラストや音楽、動画、ゲーム内アイテム、さらにはイベントの参加券までを「唯一無二の証明付きデジタル資産」としてブロックチェーンに記録できます。

⚫️ NFTの3つの特徴

  1. 唯一性:同じものが存在しないため、希少価値がある
  2. 所有権の明示:ブロックチェーン上に「誰が持っているか」が記録される
  3. 売買・取引が可能:世界中のマーケットで売ったり贈ったりできる

特に地方創生では、NFTは「アート作品」だけでなく、「地域の体験チケット」や「地域に関わる証明書(デジタル住民票など)」としても活用されています。

地元ならではの文化・資源・人のつながりを、NFTを通じて”デジタル資産化”することで、新たな価値を創出する手段として注目されています。

 

1. Web3が地方創生に役立つ?

◆ 地方創生との関係

NFT(非代替性トークン)は、地域の“特別な体験”や“文化的価値”をデジタル化し、ユニークな形で資産化できるという点で地方創生にうまく活用できると考えられています。

  • 希少性の演出が得意:地域の自然風景、祭り、伝統工芸など、ローカルでしか得られない体験やコンテンツを唯一無二のNFTとして提供可能。
  • ファンと関係人口の創出:NFTを保有することで、「その地域の一員」としての帰属意識が芽生える。関係人口の増加やリピーター観光客の獲得に繋がる。
  • デジタルとリアルの連動:NFTを持っていることでイベントに参加できる、宿泊券として利用できる、限定グッズを受け取れるなど、デジタルからリアルへと体験が広がる。
  • 透明な流通と支援:ブロックチェーン上で取引が公開されており、寄付や支援の使途が透明化。地域への信頼にもつながる。
  • 継続的な収益化:NFTの二次流通(転売)時にも、制作者や地域にロイヤリティが入る仕組みがあるため、継続的な資金源となる。

こうした特徴から、NFTは一過性のプロモーションにとどまらず、「地域とつながり続ける」ための新たな仕組みとして注目されています。

 

2. NFT活用事例

◆ 地方創生×NFTの具体事例

かつては限界集落と呼ばれた地域が、いま世界から注目を集めている―その背景には、「NFT」や「DAO」といったWeb3の技術があります。 地域資源をデジタル化し、ファンを巻き込みながら新たな経済を創出する。そんな“次世代の地方創生”が、いま日本各地で動き出しています。

 1. 新潟県山古志「デジタル住民票NFT(Nishikigoi NFT)」

https://nishikigoinft.com/

  • 目的
    山古志地域(長岡市、人口約800人)の存続危機を背景に、「錦鯉」をシンボルとしたNFTアートを電子住民票として発行。地域外からも“デジタル村民”を募り、グローバルな関係人口を創出しています。
  • 特典
    ・NFT保有者は「デジタル住民」となる
    ・Discordコミュニティで地域の課題解決や企画立案に参加可能

 

 2. 北海道余市町「ふるさとCNP」

https://furusatowhisky.com/

  • 目的
    CryptoNinja Partners(CNP)という国内最大級のNFTプロジェクトと連携し、ふるさと納税の返礼品としてNFTを提供。2022年10月に全222種類・各3万円でリリースされたNFTアートは、わずか3分で完売しました。
  • 特典
    ・余市町の人気ワイナリーのワイン優先購入権の抽選権利
    ・限定Discordチャンネルへの1か月体験参加権
    ・現地に訪れると絵柄が変化

 

 3. 宇宙アートNFT at 種子島

https://www.kokyo-nft.jp/ja/space-art

  • 目的
    博報堂と日本航空の共同プロジェクト「KOKYO NFT」の一環で、鹿児島県種子島で開催される「種子島宇宙芸術祭」と連動した、体験型NFTプロジェクトです。
  • 特典
    ・千田泰広さんと一緒に「種子島宇宙芸術祭」の展示作品を制作・展示する権利
    「星の洞窟ツアー」など、種子島の自然や宇宙を感じる特別なイベントにも参加可能

 

 4. JR九州NFT

https://nft.jrkyushu.co.jp/

  • 目的
    JR九州が独自に運営するNFTマーケットプレイスで、鉄道車両や駅、イベントなどをテーマにしたNFTを日本円で購入できます。また、現地の駅でしか購入できないNFTもあります。
  • 特典
    ・A列車で行こうコラボ全5種購入で「5列車走行動画NFT」獲得
    ・提携カフェでの限定特典がもらえるイベントに参加
    ・キャラクターコラボの静止画・アニメーションなど、限定デジタルコンテンツを入手

 

 5. 新潟県新発田市「META田植え」

https://www.web-keiei.com/staff-blog/spatial/taue/

  • 目的
    メタバース空間に再現された新発田市の田んぼで、参加者がアバターを操作して田植え作業を体験します。作業は半月ほどかけて行われ、参加者は自分の都合に合わせてログインし、3D苗を植えていきます。
  • 特典
    ・体験の証明やコミュニティ形成、記念品を獲得
    ・主催農家が実際に栽培した新潟県産コシヒカリを自宅に送付

 

3. DAOって何?

◆ DAO(Decentralized Autonomous Organization)とは?

DAO(ダオ)とは、「分散型自律組織」の略で、ブロックチェーン上の仕組みを使って、中央のリーダーがいなくても参加者全員でルールを決めて動かせる新しい形の組織です。

たとえば、通常の町内会や企業では、会長や社長などが意思決定をしますが、DAOでは「誰かの一存」で物事が決まることはありません。

⚫︎DAOの基本的な仕組み:

  • スマートコントラクト(自動で動く契約プログラム)によりルールを定義
  • メンバー全員の投票でプロジェクトの進め方や予算の使い方を決定
  • 運営に必要な資金や権限をNFTやトークンの保有によって得られる

これにより、外からのファンや元住民、地元の若者など多様な人々が地域に関与できる仕組みになります。

⚫︎地方創生に活かせるDAOの特徴

  • 地域イベントの内容や予算をDAOで決定
  • 空き家の活用法や店舗支援をDAOメンバーが投票で選定
  • NFTを持つことでDAOへの参加権が得られ、デジタル住民化が進む

つまりDAOは、「地方の自治にWeb3を取り入れた進化形の町内会」とも言えるのです。

 

◆ 国内のDAO事例

⚫︎山古志DAO(新潟県長岡市山古志村)

山古志村では、NFTをデジタル住民票として発行し、全国から「デジタル住民」を募集しました。DAOを通じて、住民や関係人口がプロジェクトの立ち上げや実施の可否を投票で決定。観光事業や農産物販売、地域イベントなどをデジタル住民と共に実施し、若者の移住促進や地域経済の活性化につなげています。

 

⚫︎美しい村DAO(静岡県松崎町・鳥取県智頭町など)

複数の村が連携し、NFTを使った「デジタル村民証」を発行。DAOの参加者はNFTの売上の使途や新たな企画を投票で決め、地域の魅力発信や課題解決に関わります。今後は30町村への拡大を目指しています。

 

⚫︎おさかなだお長崎(長崎県)

「長崎のうまいサカナの未来をつくる」をテーマに、勉強会や料理教室、魚の新商品開発、イベント出店など20以上のプロジェクトを実施。貢献度に応じて独自トークンが配布され、地域経済の活性化にも寄与しています。

 

⚫︎みちのくDAO(宮城県仙台市)

Web3技術による新しいデジタル経済圏の創出を目指し、トークンやNFTを活用した地域活性化プロジェクトを進行中。法制化や税制改革など、ビジネス環境の整備にも取り組んでいます。

 

⚫︎地域おこし協力隊DAO

全国の地域おこし協力隊と連携し、DAOを通じて移住促進や観光誘客、ワークショップ開催などを実施。外部人材の知見やスキルを地域課題の解決に活用しています。

 

4. 他のNFT活用事例

ここでは、アートやイベントだけでなく、他分野でのNFTの活用事例をさらに紹介します。NFTは地域経済の活性化だけでなく、教育、防災、観光、企業連携など多様なシーンに応用が広がっています。

◆ NFT×ゲーム(GameFi)

  • 地域資源をテーマにしたNFTゲームの開発
  • プレイヤーがゲーム内で収益を得つつ、地域に関心を持つ

◆ NFT×教育

  • 地域の歴史・文化をテーマにした教材NFTを小中学生向けに配布し、学びながらNFTの仕組みに親しむプロジェクト
  • 例:長崎県の離島で歴史教材をデジタルスタンプNFT化し、校外学習で使う取り組み

◆ NFT×観光(スタンプラリー)

  • デジタルスタンプラリーをNFTで発行し、観光客が訪問地でNFTを収集。
  • コンプリート特典として、リアル商品や限定イベントへの招待を用意。

◆ NFT×防災・地域インフラ

  • 災害対応訓練の参加証明をNFT化し、地域の防災リテラシーを可視化。
  • また、地域のインフラ(橋や公園)をNFTとしてデジタル管理し、寄付と保守への参画を促すモデル。

◆ NFT×企業連携

  • 地元企業と連携し、製品購入者にNFTを付与。限定デザインのコレクションや抽選参加権を提供。
  • 例:愛媛県のタオルメーカーが工場見学付きNFTを発行。

 

5. まとめ

この記事では、Web3・NFT・DAOといった最新のデジタル技術が、どのように地方創生に活用されているかを解説しました。地方自治体や地域住民が、単なる消費者ではなく「参加者」「共創者」として新しい経済圏を築いていく流れは、今後ますます広がっていくと予想されます。

  • Web3は分散型で透明性のある新しいインターネットの形
  • NFTはデジタル資産として唯一性と経済価値を持ち、地方創生と相性が良い
  • DAOは新しい「地域運営」の仕組みとして注目されている
  • 地方ではアート・観光・農業など、多様な分野でNFTやDAOの導入が始まっている

これを読んで「ちょっと面白そう」「もっと知りたい」と思った方は、地域DAOやNFTプロジェクトに参加してみてください!

Web3という言葉が単なる「バズワード」ではなく、地方の未来を変える実践的な手段になり得ることが伝われば嬉しいです。地域が抱える問題をテクノロジーで解決 -そんな挑戦に、少しでも多くの人が関わるきっかけになればと願っています。

 

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